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伊藤将人

環境に配慮したソーシャルグッドな移動手段・e-bikeの可能性

欧州で普及し、長野県にも導入されているe-bikeについて紹介

不動産クラウドファンディングサービスを提供するクラウドリアルティでは、不動産のみならず、地方で生まれる様々な「ソーシャルグッドな事業の芽」を紹介しています。今回のテーマはe-bike。環境にやさしく、地方の交通環境改善に資するという新たなツールについてのレポートです。

目次

健康的で環境に配慮した移動手段e-bike

e-bike(スポーツ用電動アシスト自転車)とは、ロードバイクやクロスバイクのようなスポーツタイプの自転車に、電動アシストをつけたものを指します。日常で使われる一般的な電動自転車との違いは「走りやすさ」「実用性」の2点。長距離や長い坂道、整備されていない道でも走れるように設計された安定感のあるタイヤと太いフレームが特徴です(企業ごとに販売しているe-bikeのタイプは異なるため、近年は上記に当てはまらないe-bikeも多く販売されていますが)。

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健康的で環境に配慮した移動手段として注目を集めるe-bikeですが、その他にも多くの可能性があります。今回はその中でも「地方の魅力をリアルに体感するための手段」「地方の交通環境を改善する手段」としてのe-bikeを、長野県で実際に観光インバウンド事業でe-bikeを取り扱う筆者が掘り下げていきます。

世界的なe-bikeの動向

ミンテル・グローバル市場調査によると、2018年に英国全体で7万台のe-bikeが販売され、前年比8%増収、平均販売単価15%上昇と注目を集めています。英国とe-bikeの本場ドイツを含む欧州全体での出荷台数はシマノの調査によると2018年に213万台を記録しました。

英国を含む欧米圏を中心に広がるe-bikeは、地球温暖化や環境破壊に配慮した持続可能な観光促進・交通手段として大きな可能性を秘めています。

地方における公共交通手段の減少

少子高齢化と利用者数の減少に伴い、地方自治体では公共交通手段の減少が課題になっています。国土交通省政策局「陸運統計要覧」をもとに公開された一般社団法人北陸地域づくり協会のレポートによると、三大都市圏以外の路線バス輸送人員は約35年間でおよそ3分の1以下にまで減少しています。利用者の減少によりバス事業者の採算性は悪化し、2004年までの時点で三大都市圏以外の乗合バス事業者では83%が赤字と厳しい経営状況となっています。現時点で利用者数の増加や人口の増加が見込まれないなかで、公共交通手段を維持・拡充するのは難しい現状があるのです。

二次交通の脆弱さは観光客を遠ざける

公共交通手段の数と質の低下は、その地域に暮らす住民が困るだけでなく、多くの潜在的な観光客を地域から遠ざけています。地方には駅がない市町村が数多く存在します。私の生活拠点の一つである長野県では、安曇野市に隣接する池田町、白樺高原で知られる立科町、レタス生産量が多い朝日村などは駅がありません。駅のみならず、国道も通っていない市町村も多くあります。

一般財団法人自動車検査登録情報協会の調べによると、観光客の中でも特に地方の自然環境や山岳アクティビティを楽しむために訪れる都市在住者のうち、東京都や大阪府などの大都市では1世帯当たりの自家用乗用車保有台数は0.45台となります。対して長野県は1世帯当たりの自家用乗用車保有台数が1.58台と約3倍~4倍の差があります。

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地方の車を持っていることを前提とした社会で、車を持っていない観光客が周遊する場合、目的地から目的地への移動で苦労することがあります。車移動を前提として組まれた公共交通機関の時刻表、バス停の場所、案内の不足などが苦労を誘発するポイントであり、日本人であればどうにかなることも車移動がより少ない訪日観光客の場合、問題はさらに深刻です。最寄り駅までは電車や高速バスで行けたとしても、駅から目的地までの二次交通が整備されていない。二次交通が不便な地方市町村は、気付かないうちに観光客が訪れるチャンスを逃している側面があるのです。

ここからはなぜe-bikeが観光促進や地域活性化につながるのかを詳細にみていきたいと思います。

地方こそe-bikeの強みが発揮される

電動アシストがついていない自転車をサイクルツーリズムで導入する事例は多くありますが、e-bikeを導入している事例は日本ではまだそこまで多くありません。海外ではドイツとベルギー・オランダ・ルクセンブルクを合わせたベネルクス三国がe-bike産業の中心となっています。当初は高齢者向けだったものが約5年前から若年層にも認知され始め、これまで自転車に乗ってこなかった層にも広がりをみせています。

日本では、自転車ジャーナリスト難波賢二氏によってe-bikeを使った観光アクティビティは「eバウンド」と名付けられ、伊豆や富良野、長野県などでe-bikeを用いた観光アクティビティが実施されています。私がPJの情報発信で携わった長野県立科町の事例が以下のサイトから日本語英語2言語で見られます。

日本語:https://sherakabike.com/
英語:https://nagano-trip.com/tateshina/

e-bikeの特徴

e-bikeとアシストなしの自転車の最大の違いは「登り坂での疲労度」です。地方でサイクルツーリズムを展開する場合、山間の上り坂を走る機会は多くなります。その際、自転車に乗り慣れていない人にとってアシストなしの自転車で坂道を走ると疲れて景色を楽しむどころではなくなってしまうかもしれません。しかし、e-bikeであれば急な登り坂でない限り、自転車に乗り慣れていない人でも楽に走ることができます。

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もう一つの特徴は安定感です。私は普段あまり自転車に乗りませんが、初めてe-bikeに乗ったとき、タイヤが太くフレームもしっかりしており安定感があることに驚きました。ロード用に特化したものなどは必ずしもこれに当てはまりませんが、普段乗らない人でも転倒を心配することなく乗れる印象でした。

観光客もさることながら、住民が日常的に使う移動手段としても導入は可能です。安定しているタイプを導入し、アプリで管理できるフリーライド方式を採用すれば、子どもからお年寄りまで利用できます。自治体で導入することが不可能でも、個人単位で購入し利用することは可能なので近所で必要なときに貸し借りしあうシェアライドもできるかもしれません。

e-bikeでスローな観光を楽しむ

e-bike公共交通手段が少ない地方で速く快適な移動を実現しますが、地域の魅力的なコンテンツを「ゆったりと楽しんでもらう」手段としても力を発揮します。

車やバス、電車の移動の場合、ちょっと魅かれる脇道や裏路地があっても簡単に入ることはできません。「駐車場どこだろう?」「いまの景色、写真撮りたい!けど停まれない……」こういう経験をしたことある人も多いはず。対して、歩きやランニングはゆったり楽しめる一方で普段、運動しない人にはハードルが高く、5km~10km歩けば相当疲れるはずです。

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自転車は、車や電車と歩きのちょうど中間のスピードで観光を楽しめる移動手段です。寄り道が気軽にでき駐停車もしやすく、細い裏路地やあぜ道でも入っていけます。しかしアシストなしの自転車の場合、漕ぎはじめに力が必要になり、歩きと同様に長距離乗ると運動をしていない人や慣れていない人は疲れを感じたりします。

e-bikeはこの2つの課題を解決します。漕ぎはじめにアシストが効くので、思い切り踏み込む必要がなくスーッと走り出せます。また長距離走ったり山道を走ったりしても、とても疲れということはあまりありません。加えてアシストなしの自転車よりもスピードが出るので直線が多い道であれば素早く移動ができます。最も合理的かつゆったりと地方の魅力を堪能できる手段がe-bikeなのです。

これから日本国内でも伸びるe-bike

e-bikeは公共交通手段が整っていない地方が観光客を呼び込む手段の一つになると同時に、それ自体がコンテンツとなり新しい観光の価値を提供します。これから導入する自治体や個人の数が増えスタンドや貸し借りの場所が増えれば、住民が生活の中の移動手段として手軽に使うことも可能になるでしょう。

記事の途中でも触れたように、e-bikeは行政だけでなく個人で買うこともできます。安いものであれば10万円台から販売しており、家庭用コンセントで充電できるので、普段の移動手段としても欧州のように普及していくことは間違いありません。観光促進手段であり、二次交通の課題を解決する地域活性化の手段であり、ゆったりした観光と生活を実現する手段でもあるe-bikeの可能性に注目です。

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Profile

まちづくりライター
伊藤将人

1996年長野県生まれ。一橋大学社会学研究科にて地方移住と観光に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県内外で観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・調査・PRを手がける。訪日観光客向けWebサイトNAGANO TRIP、地域考察WebメディアKAYAKURA運営。週刊SPAや公益社団法人 日本観光振興協会発行『観光とまちづくり』など執筆多数。東京都国立市と長野県の2拠点居住中.Twitter@ito_masato


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