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WealthPark研究所所長 加藤航介

「ワインが投資になる」って聞いたんですが・・・(1) ファインワイン産業の仕組み【WealthPark研究所】

「教えて、WealthPark!」では、皆さんのお金と投資に関する素朴な疑問を解決していきます。寄せられた疑問を題材とし、皆さんが真の投資力を身につけ、より良い人生に近くづくことを目指していきます。

ワイン投資って何?全3回の連載初回は、ファインワイン産業の仕組みについて、詳しく解説します。

ワインの世界市場とファインワイン

WealthPark社員(以下、社員):こんにちわ。今日は「投資としてのワイン」について教えてください。ワインでの資産運用は世界的に有名らしいのですが、どのように投資がされて、どのようにワイン価格が決まっているかなど、今一ピンときません。ワイン投資の仕組みについて教えてもらえませんか?

WealthPark研究所所長(以下、ケイ):了解です。では、今日はワイン投資について考えていきましょう。おっしゃるようにワイン投資は富裕層の間ではとてもメジャーな投資ですが、一般市民でも取り組むことができる、とても魅力的で楽しい投資だと思います。

では、ワイン投資を考える前に、そもそものワイン市場について見てみましょうか。ワインは6000年の歴史を持ち、世界中の人々の生活や食文化にとって欠かせない飲み物ですよね。現在、世界では10万件以上のワイナリーが存在していますが、伝統的な欧州地域だけでなく、近年では、より多様な国でワインの生産が見られます。また、白、赤、スパークリング、ロゼなど様々な種類があり、多くの料理に合わせることができるワインは、世界中で消費されています。かつては欧州や南米がワイン消費の中心でしたが、今は米国や中国での消費増が大きなトレンドとなっています。ワイン市場は、生産と消費の両面で、世界的に広がりを見せていると言えるでしょう。

社員:日本でもワイナリーが増えていますし、山梨や新潟などではワインツーリムズムも盛り上がりを見せていますよね。ワイン講座に通っている友人の話をよく聞きますし、我々の生活にもより身近になっている気がします。あと、ワインを語れると、教養がありそうっていうか、ちょっとかっこいいですよね(笑)。

ケイ:そうですね。世界の酒類市場では、ワインはビールに次いで2番目に大きな市場です。過去20年ほど、世界全体のワインの消費量はそれほど変わっていませんが、ファインワイン(小売価格で3000円〜5000円以上の高級ワイン)の市場は、堅調な成長を見せてきました。背景は新興国の人々の所得の高まりによる欧州の高級ライフスタイルに対する憧れや、先進国ではモノ消費より体験などのコト消費に価値が置かれてきたことなどが挙げられるでしょう。現在、ファインワインの世界のワインの消費市場に占める割合は、数量ベースで1〜3%、金額ベースでは10%に達していると言われています。そしてファインワイン市場は、今後も成長が予想されていますが、その背景には「ワイン投資家」の存在の広がりがあります。

社員:高級なワインって「ファインワイン」って言うんですね。それってワインを寝かせれば寝かすほど味が美味しくなって値段も高くなっていく、いわゆる、ビンテージワインってやつですよね?あんまり飲んだ事ないですけど(笑)

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ケイ:そうです、ファインワインとはビンテージワインのことで大丈夫です。2018年には、アメリカのオークション大手「サザビーズ」で、1945年物のロマネコンティ2本がそれぞれ約5000万円で落札されました。これが、過去に見られたファインワインの最高価格となります。長期の保存により価値が上がるお酒はワインだけではなく、スコッチウイスキーのマッカランや中国の茅台(マオタイ)という蒸留酒は、過去に1億円前後の落札価格が付いたこともあります。

社員:えーー。ワイン一本で5000万円、ウイスキーでは1億円ですか。絶句、、、です。

ファインワイン産業の仕組み

ケイ:まあ、それは話のネタ程度に覚えておきましょう。実際のワイン投資では、一瓶当りの投資単価は数千円〜数十万円程度ですんで。

さて、次にワイン投資に関係するファインワイン産業の全体像を理解していきましょう。投資や資産運用においては「それに投資したら儲かる、儲からない」などの表面的な浮ついたお金の話ではなく、その背景にある産業やエコシステム(ビジネス全体の生態系)の全体像を理解しなくてはなりません。そして、その仕組みが「人々と社会の豊かさや幸せ」に長期で役に立っているかが、決定的に重要になります。その投資が社会の豊かさを増やす「良きお金の社会参加」であるならば、社会の豊かさの増加と共に、投資したお金はしっかり増えていきますので。そうでない投資はただのギャンブル、つまり投機です。

社員:なるほど。その投資が良き社会参加であるのか、を考えることが大事なんですね。お金の話となると、どうしても「いくら儲かるの?損をしないの?」という事が気になってしまいますが、そもそも、どうしてワイン投資なるものが世の中に存在するのかを、知らないとなりませんよね。

ケイ:はい。では、ファインワインの産業がどのように出来上がっているかを見ていきましょう。ファインワインの市場は、以下の4つの参加者により成り立っています。

①生産者であるワイナリー
②貯蔵者であるワイン投資家
③ワインの流通業者
④消費者やレストラン

このどれか1つが欠けてもファインワインの市場は成立しません。そして投資家の存在意義は②となります。このワインの貯蔵という役割は、かつてはワイナリーや大手ワイン卸業者の倉庫、レストランやお金持ちの自宅のワインセラー、などで他の①③④の主体が行なっていました。ただ、ワインの貯蔵においては、数年〜数十年に渡る大量の在庫を抱えなくてはならないため、生産者であるワイナリー農家や、流通業者にとっては負担が重すぎるという問題がありました。

その問題を解決するため、投資家から大口、小口の資金を幅広く集めて「ワイン貯蔵の役割は投資家という主体に任せる」というエコシステムが出来上がってきました。投資家という新たなプレイヤーをファインワイン業界の仕組みの中に取り込めれば、ワイナリー側は美味しいワインを作ることに集中でき、結果として蔵のブランドを上げることができる。また、流通業者も消費者が欲しいワインの提供・紹介という本業に集中することができ、事業のために大量の在庫を抱えるリスクを負わなくて済む。そして、好不況という景気の影響を受けやすいレストランにとっても、在庫リスクを追わなくてよいのは、経営上、大変助かる話です。このように各主体がWin-Winとなる新たなエコシステムの創出が、ワイン投資なるものが生まれ発展してきた背景になります。

社員:なるほど。投資家という今まではワイン産業にいなかったプレイヤーを呼び込むことで、ファインワインという産業を発展させることができた訳ですね。そして消費者においても美味しいワインを飲む機会が広がる。

ケイ:はい。元々、ファインワインのエコシステムは、5大シャトーで有名なフランスのボルドー地域のワイナリー、イギリスの有力ワイン商人達、そして資金的に余裕がある欧州の貴族などの富裕層達が、長年かけて作り上げてきたものです。なお、ボルドー地域は12世紀から15世紀までイギリスの領土でしたので、イギリスの商人たちは現在でもワイン業界に強い影響力を持っています。そして今や、その仕組みは世界中に開かれ、カリフォルニアやトスカーナなどの高級ワイン生産地、ロンドン以外のワイン商、多様な投資家が参加して、ファインワイン産業を形成している訳です。

消費者の視点としては、ファインワインは様々な楽しみを人生に与えてくれます。例えば、子供の誕生年に作られたワインを成人時や結婚式の時に飲んだり、何かのお祝いとして友人にプレゼントをしたりですね。そのような楽しみ方が、かつての欧州の貴族だけでなく一般人もできるようになったのが、ファインワイン産業の広がりということです。日本酒の一斗樽の鏡開きもそうですが、美味しいお酒をあけると場の雰囲気がとても盛り上がりますよね。

社員:そうか。つまり、世界の美味しいワイン造りに、ワイン投資家が貢献している訳ですね。そして、ファインワインの産業がその消費者と共に発展するにつれて、ワイン投資家も投資リターンを得ている。ファインワインを通じた人々の笑顔の数だけ、投資リターンが出ているような感じですかね。

ケイ:その通り。全ての投資のリターンの本質は、社会の豊かさと人々の幸せにあります。なお、2010年前まではファインワインへの投資は、ほぼボルドー地方の5大シャトー(ワイナリー)への投資と考えられていました。しかし、現在ではブルゴーニュ、シャンパン、カリフォルニア、トスカーナなど格付け制度がしっかりしている地域のワイナリーで作られた優良ワインへの投資もファインワインと幅広く見なされ、世界中で貯蔵や取引がされています。

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社員:そういうファインワインって、幾らぐらいなんですか?ワイナリーからの出荷価格といいますか。

ケイ:現在のワイナリーからの初期出荷価格(IPO価格)は数千円から十万円程度です。そして有名なワイナリーから直接買い付けることができる業者は、過去から取引がある限られた業者だけです。去年までの購入枠分を今年も買う、もし枠を使わなければその枠は無くなってしまう仕組みになっているようです。世界を見渡すと、やはりボルドーの5大シャトーの優良な畑で取れたブドウで作ったワインの初期出荷価格が高いですね。1980年代のボルドーでは上等な葡萄畑からのワインでも5000円ぐらいで出荷されるのが一般的だったようですが、今では10万円を超えてきており、驚かされます。

社員:初めから10万円。。。すごいですね。ちょっと疑問なんですけど、そのような人気のあるワイナリーのワインって、皆が欲しがるからそのような高値がついていると思うんです。先々、さらに値上がりも見込めるのでしょうし、ワイナリーとしては購入枠を飛び越えてもっと高値で買ってくれる業者に売った方がよりお金が儲かるのではないでしょうか。

ケイ:良い質問ですね。確かに短期的にはその通りだと思うのですが、それは行われないと思います。これはフランスを中心とする欧州の高級品ビジネスに深く根付いている、長期視点にたったブランドビジネスとしての知恵です。産業の最も川上にいるワイナリー達は、毎年少しずつ出荷価格を上げていくことが、自分たちのブランドを長期に育てていく本質であることを良く理解しています。「もっと高く買いますよ」という甘い誘いの裏には、不況などで環境が悪くなった時には買い叩かれる、つまり葡萄や製造の出来に関わらず、ワインの値段が暴落する可能性を作り出すことになるのです。消費者が商品に真のブランドを感じ、高額のお金を払ってくれるのは、景気がどうであろうとその商品が常に高価格で取引されているという安心感や、長期的に商品の価値が上がり続けていること、に価値を見出しているからです。値段が大きく下がったり、周りの環境によって商品の価値が決まってしまえば、消費者はそのブランドに対して信用を失い、二度と高額のお金を払ってくれません。ファインワインというエコシステムの起点にあるワイナリーはその本質を良く知っているので、短期的に儲けようという行動はとらないでしょう。ルイヴィトンやエルメスの革製品でも一緒です。彼らは、例え不況で今年商品が売れなかったとしても、ブランドの価値の大切さを知っているため、絶対に値段を下げません。

社員:なるほど。信用って一度失うと取り返すのは大変ですよね。短期的に儲けようと面の皮がはったような行動は、ファインワインのようなビジネスの対局にあるってことか。奥が深いですね。。。

(続編の記事、「ファインワイン投資の利回り」に続く)

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Profile

WealthPark 研究所 プレジデント(所長)/インベストメント・エバンジェリスト
加藤 航介

日系・外資系の大手投資会社において、ファンドマネージャー、投資啓発などの要職を歴任。英国・米国に約10年滞在し、世界30ヵ国での投資実務を経験。「実体験が大切、自分とアドバイスの聞き手は同じ船に乗る」との考えから、個人資産の運用においても国内外の金融資産、不動産(一棟・区分・海外)、多様なオルタナティブ資産への豊富な実経験を持つ。米国コロンビア大学MBA(経営学修士)修了。米国公認会計士、ファイナンシャル・プランナー、証券アナリスト試験に合格。英国ケンブリッジ大学 Executive Program(GMCA) 2020–2021在籍中。一般社団法人 投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」客員研究員。


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